「成果を出す人」は英語も伸びる
~英語学習を成功に導く “思考と行動のパターン”~

中尾 隆一郎(なかお りゅういちろう)氏
中尾マネジメント研究所 代表取締役社長/元リクルートテクノロジーズ社長/著書17冊
リクルートで約30年にわたり事業開発・人材育成をリードし、スーモカウンターを売上30倍・店舗数12倍に成長させた立役者。リクルートテクノロジーズ社長として、IT戦略による事業変革を牽引。現在は複数企業の社外取締役を務めつつ、経営者塾や執筆・講演活動を展開。
主な著書:
『最高の結果を出すKPIマネジメント』『数字で考えるは武器になる』『成果を上げるプレイングマネジャーは「これ」をやらない』ほか多数。
成果を出す人にはどんな特長がありますか?
成果を出す人(ハイパフォーマー)に共通しているのは、常にGoal(目的・ミッション)を意識して仕事をすることです。そしてPre(事前準備)に時間を使い、Post(振返り)を実施し、そこから学び(ナレッジ化)、成功の再現性を高めます。そしてこの行動を習慣化し続けています。
私が提唱しているG-POP®というフレームワークでは上述のハイパフォーマーの行動特性をフォーマット化し、Goal(目的)→ Pre(準備)→ On(実行)→ Post(振り返り)という4つのステップで構成しています。この過程で蓄積されるのが「ナレッジ」なのですが、ナレッジとは単なる知識ではありません。「どうすればうまくいくか」「どこに落とし穴があるか」といった、いわば“成功の勘所・失敗を避ける勘所”のことです。この勘所を増やすことで、うまくいった場合は再現性を高め、うまくいかなかった場合は再発防止のための予防策と発生時対策を準備することが出来ます。その結果、あらゆる挑戦の成功確率が高まり、成功し続けられるようになります。
また、成果を出す人はゴール(目的)を明確にするだけでなく、さらにそれを複数の時間軸に分けて設定します。たとえば次の4つです。「人生」「今年」「今月」「1週間」。人生をかけて達成したいゴール、今年達成したいゴール、さらに因数分解をして今月のゴール、さらに今週のゴールを設定します。これがあると、今取り組んでいることがゴールに繋がっているかどうかを確認できますし、時間軸が小さければ小さいほどリアリティが高まり、今やるべきことが明確になります。
英語学習に限らず、どんな分野でも成果を出す人は、「目的(ゴール)を明確にし、準備し、実行し、振り返る」という基本の型を持ち、それを愚直に回し続けています。そしてハイパフォーマーは“何とかして成果を出し続ける力”があるのですが、その力こそが、このG-POP®を活用したセルフマネジメントなのです。
セルフマネジメントのスキルを上げると英語学習はどのように変化すると思いますか?
セルフマネジメントのスキルが上がれば、当然英語学習にも役立つと思います。私は英語学習の専門家ではありませんが、一般的に英語学習やダイエットは継続やモチベーションの維持が難しいという共通点があります。つまり、英語学習の成果が出ない原因の多くは、「やり方」もさることながら「やり続けられないこと」にあると考えられます。ここを乗り越える鍵が、まさにセルフマネジメントの力です。
たとえば、今日は学習できなかったとしても、「なぜできなかったのか?」を振り返り、再発防止策を検討し、それを翌日のスケジューリングに反映させる。あるいは、成果が出ている週と出ていない週の違いを見つけて、自分なりの“成功パターン”を再現していく。これができるようになると、学習は偶然に頼るものではなく、“再現性のある行動”に変わっていきます。
このセルフマネジメントの力は、英語以外の分野にも波及していきます。
英語学習が継続出来ない理由は、英語そのものではなく、英語以外のこと、たとえば仕事や家族、健康などの様々な事象が原因になることがあります。どんなに最適な学習方法をみつけたとしても、体調を崩していたら学習は出来ませんし、仕事で大きな問題を抱えて残業に追われている時に英語学習に取り組むのは難しくなります。また家族との時間を全て犠牲にして英語学習だけに集中し続けることも現実的ではありません。
つまり突き詰めていくと、マネジメントの対象は、英語学習そのものだけでなく、仕事や家族、健康、趣味などライフスタイル全般に及びます。それら全体をマネージしていく(何とか理想の状態に近づけていく)ことで英語学習における長期的な目標が達成されるのだと思います。ですから結果的に、英語だけでなく人生そのものの生産性や充実度が上がっていく。これが、虎視眈々が提供している英語コーチングの本質的な価値だと思います。